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愛媛大学:
地域活性化のための、
免許がいらない無線インフラに期待。
LoRa方式920MHz無線を用いての
伝搬特性実験を実施。

CASE STUDY-3

愛媛大学
大学院理工学研究科(工)
 理工学専攻(電気電子工学)
都築教授の事例をご紹介

地域活性化のための、
免許不要の
無線インフラに期待。

LoRa方式
920Mhz無線を用いての、
伝搬特性実験を実施。

導入の
いきさつは?

LPWAの特長である①無免許で利用
②伝搬距離が長く③低消費電力
それらの魅力に惹かれ実際に検証を開始。

なぜグリーンハウス
なのか?

①デバイスが豊富、
電子機器メーカーとしての安心感
②担当が製品に対する造詣が深く話が早い
③多くの情報を保有しており刺激が多い。

今後期待できる
効果は?

高齢者の見守りや情報の共有、
さらには限界集落になる前に
地域を活性化させるための
無線インフラとして期待できる。

愛媛大学を起点に、
松山平野での伝搬特性の
実験を行う。

電力線通信(特に線路のモデル化)およびその産業応用、スマートコミュニティ、IoT、EMC、総務省JGN(Japan Gigabit Network)の利活用などの研究や社会実装活動に従事している愛媛大学大学院理工学研究科理工学専攻(電気電子工学)都築伸二教授。グリーンハウスの提供するLora方式920MHz無線を使用して、愛媛松山城の北に位置する愛媛大学を発信元とした四国西部を流れる重信川、石手川が形成した東西20km、南北17kmの広大な扇状地である松山平野での伝搬特性の実験を行った。
愛媛大学
大学院理工学研究科(工)
 理工学専攻(電気電子工学)
都築 伸二教授

920MHz帯のため
無免許で使用が可能、
伝搬距離が長く低消費電力の
LoRaの実力に注目。

IoTやセンサネットワーク系サービス通信基盤を構築する場合には、従来であれば携帯キャリア会社が提供するLTE回線を用いて行っていたが、そのランニングコストやLTEのサービスエリア外での運用が課題であった。そこで近年、LPWA(Low Power Wide Area Network)と呼ばれる無線通信規格の1つであるLoRaWANが注目されている。 都築先生はこのLoRaの①920MHz帯を用いるため無免許で使用可能②伝搬距離が長く最大10km程度の長距離通信が可能③低消費電力という特長に注目、 2017年5月、LoRaの特出すべき特長である長距離通信性能について実験を行った。「LoRa以外のサブギガ無線で愛媛大学の研究所と自宅を繋いでみたが、繋がらない。これは大学と自宅の間に大きな松山城があるからなのですが、LoRa方式の920MHz無線を使用したところ、見事に繋がりました。これは面白いということで丸一日車で走ってどこまで電波が飛ぶのかを実験してみました」と都築先生。
松山城:松山市の中心部、勝山(標高132m)にそびえ立ち、天守へのルートは4つある。別名勝山城や金亀城(きんきじょう)とも呼ばれている。愛媛大学工学部は城の北に位置しており、今回の実験においては松山平野への無線送信の最初の障害となるのだが…。

評価機の仕様

MAC:グリーンハウス(RF LINK社) SimpleMAC922/92A
LoRaモジュール:RM-92AS
内蔵トランシーバIC:SEMTECH 社SX1272[1]
アンテナ:ANT-92XA (単一型λ/2)
表面の仕様の評価機を使用、
愛媛大学から人が住んでいる範囲で、
一番遠くの地域までの
電波送信実験を行ったところ、
直線で約14km以上離れた
山間部で受信出来た。
※下記の地図参照
工学部2号館6階602号室南側窓
工学部2号館屋上(7階相当)
理学部総合研究棟屋上(地上高28.65m)

実験結果から見えた
LoRa方式無線の可能性

LoRa方式の無線による屋内外の電波伝搬特性実験の結果から、SF値を12に設定した場合、見通し(Line of Sight;LOS)範囲であれば最長17.8km遠方(送信機設置場所から見える最遠の人が住んでいる場所)でもが受信できることが確認できた。この結果からLOS範囲であれば500km以上伝搬することが予想できた。一方、見通しが悪い(木造家屋2階に送信機を設置した)場合は、最遠でも2.5kmであった。また、大学の研究棟内に送信機を設置して伝搬特性を調べた結果、(高さ×長さ)=(22×90)[m]のビル内全域で通信可能であることが確認できた「見通しで500km以上伝搬することができるということは、ISS(国際宇宙ステーション)から地上まで届くということ。この結果には大きな可能性を感じます。実際に現在LoRa方式の無線を使用する実用化の話も徐々に進んでおり、水源のモニタリングや国道の崖崩れが発生しやすい斜面のモニタリングなど、実用段階に入りつつあります。都会とは違いケータイの電波すら飛んでいない環境の中で、林業を営む方や登山客に対して情報提供を行ったり、 最近深刻な話題が多い豪雨に対し、例えば水位や水質をモニタリングすることで水門の開閉を遠隔で行うなどの対策ができるようになります。 特に四国だと常に通行止めなどのリスクがある300番台以降の道路があるので、現場に行かなくて済む遠隔でのモニタリングは今後様々な分野で期待できます」(都築先生)
▪️屋外の伝搬特性(10秒毎に無線送信)
徒歩、自転車、自動車で松山平野内を移動。自動車の場合はカバンから受信機を取り出しダッシュボード上に配置。
▪️ビル内の伝搬特性(同上)
窓からの回り込みもあるため、ご覧の通り各フロアで干渉縞が観測された。

愛媛大学構内等、
複数の送信機から
LoRaで通信を行い、
平野及び山間地で
実際に受信出来たエリア

工学部2号館6階602号室内南側窓 【緯度・経度】33.848267,132.770816 
工学部2号館屋上 (7F相当) 【緯度・経度】33.848383,132.770845
理学部総合研究棟屋上(地上28.65m) 【緯度・経度】33.850646,132.774765
一般木造家屋2F室内南側窓 【緯度・経度】非公開
P1同様、工学部602号室内北側本棚上 【緯度・経度】33.848267,132.770816
LoRa受信可能地点
画像をクリックすれば
愛媛大学に変わります。

LoRa方式の無線を使用する実用化の話も徐々に進んでおり、水源のモニタリングや国道の崖崩れが発生しやすい斜面のモニタリングなど、実用段階に入りつつあります。

都築 伸二先生
愛媛大学 大学院理工学研究科(工)
 理工学専攻(電気電子工学) 教授

愛媛県の深刻な高齢化問題

平成27年(2015年)国勢調査人口等基本集計によると、愛媛県の人口を年齢3区分別にみると、0~14歳の年少人口が169,110人、15~64歳の生産年齢人口が776,111人、65歳以上の老年人口が417,186人で、総人口に占める割合は、それぞれ年少人口が12.4%、生産年齢人口が57.0%、老年人口が30.6%となっている。平成22年には60.4%だった生産年齢人口が6割を切り、65歳以上人口が総人口に占める割合である高齢化率は初めて3割を超えた。また、20ある市町村のうち、久万高原町(47.3%)伊方町(43.1%)松野(42.5%)など6つ
の市町村で65歳以上の高齢者の割合が40%以上を超えている。これは限界集落(過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になり、社会的共同生活の維持が困難になっている集落)の問題でも有る。この問題に対し、都築先生は「LoRa方式の無線技術は、省電力であり免許不要、長距離伝送の特性から、 高齢者の見守りや情報の共有、さらには限界集落になる前に地域を活性化させるための無線インフラとして期待できる。 今後、地方自治体単位での地域を活性化させる取り組みが重要だ」と話す。
愛媛県市町別高齢化率【画像クリックで愛媛県国勢調査結果へリンク】
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