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CASE STUDY 2

for WQC株式会社

ワイヤレス給電、それは産業構造が激変するほどの可能性を秘めている。

技術革新を誘発する潜在力を持つ、ワイヤレス給電の高効率化にグリーンハウスの技術を採用。

WQC株式会社

金属接点やコネクタなどを介さずに電力を無線で伝送する技術の「ワイヤレス給電」。そのワイヤレス給電の次世代技術を有する企業WQC社は、その新技術を使用したワイヤレス給電の試作機を開発している。今後、技術革新を誘発する潜在力を持つワイヤレス給電の新技術のキーワードは“位相の同期”。家電からロボット、電気自動車(EV)など幅広い分野にてこの新技術をベースにした世界展開の施策を行う。

http://wqctech.com

  • 導入のいきさつは?

    ロバスト性の高いワイヤレス給電の新技術を実現するために信頼性の高い位相同期技術が必要。それがここにあった。

  • なぜグリーンハウスなのか?

    ・弊社の技術的課題を解決してもらえること。
    ・弊社の技術を活用する企画力と販売戦略を含めた
     トータルソリューションを提供してもらえること。

  • 今後期待できる効果は?

    産業機器や民生機器へ本技術を提供することができ、さらにIoTソリューションとしてパッケージ化された製品を供給することができる。

(左から)WQC専務取締役 技術本部長 湯浅 肇氏、同社代表取締役社長 牛嶋 昌和氏、同社 荻野 剛氏

ワイヤレス給電の新方式“位相の同期”が未来を変える

ワイヤレス給電では給電効率を良くすることが課題である。しかし、一般にワイヤレス給電では給電効率を高くしようとすればロバスト性(位置の自由度のこと)が低くなり、ロバスト性を高くしようとすれば給電効率が低くなるという。効率とロバスト性とはトレードオフの関係になっておりこれをどう解決するかが業界の最大の課題となっている。この相反する課題を同時に解決するものが“位相の同期”である。
ロバスト性が低いということはどういうことかというと、例えばスマートフォンの充電(Qiという規格)も既存のワイヤレス給電技術では、送電パッドの上に乗せたスマートフォンの送電側と受電側の位置をしっかりと合わせないと充電ができない。少しでも位置がずれると発熱して効率が下がってしまうのだ。その使い勝手の悪さがスマートフォンのワイヤレス給電の障害になっているとも考えられる。こうした中で、送電コイルと受電コイルとの距離や位置関係が変化した場合にも高い効率で送受電できる(ロバスト性を高くする)新方式が牛嶋 昌和氏により発明された。

位相の同期

「ロバスト性を低くする最大の原因は、コイル間の距離や位置関係が変化すると共振周波数が変化するためです。この共振周波数の変化を自動追跡することができれば、ロバスト性の高さと高効率とを兼ね備えたワイヤレス給電システムができあがります。この技術で、事務機器や家電製品の複数ケーブルの煩雑化や劣化に無縁な環境を実現することができ、例えば、充電パッドの上に充電したい機器を適当に乗せるだけで、電気の送電側と受電側の位置が多少合っていなくても確実に受電ができるようになります。将来的にはドローンやシニアカー、電動自転車、ゴルフカート、お掃除ロボット、EVなどの充電に役立たせることもでき、ゆくゆくは給電コイルを埋設した道路で電気自動車(EV)の走行中給電も可能にしていきます。」とWQC株式会社 代表取締役社長 牛嶋 昌和氏は語る。

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PDF: 「ついに突破口が見つかったワイヤレス給電」

電気自動車/ハイブリッドカーへの充電も可能
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ワイヤレス給電の新方式を発明した牛嶋氏。今後さらに開発を進め実用化を目指す。

さらなる性能アップを求め、グリーンハウスの無線を採用

総務省は2020年に、ワイヤレス給電家電の世帯普及率を80%にする目標を掲げている。市場は2015年で約390億円、2020年には約1,800億円へ急成長すると言われているが、いずれも課題が未解決のままで、黎明期のまま足踏みをしている状態である。現在既存技術である電磁誘導のQi方式や類似の方法で無人搬送車(AGV)やスマホ・タブレットのワイヤレス給電が行われており、EVにおいては磁界共振という方式(MR方式)で試作段階で電気自動車(EV)への非接触充電の取り組みがされている。しかしQi方式は充電パッドの真ん中に正確にスマホを置いた場合でも効率が70%を超えることが難しく、それもほとんど充電パッドに接触する状態で使用されている。現状のMR方式の最大の欠点は受電側の共振周波数の変化を考慮せずに行われていることであり、そのために結果が芳しくない。しかし、今回牛嶋氏が発明した新方式(改良磁界共振/AMR方式)では受電側の共振周波数の変化を正確に捉え、送電側と”位相の同期”を行っているために既存技術の課題であった、伝送効率の悪さ、ロバスト性の低さを同時に克服することができる。この技術の要の部分“位相の同期”を担っているのがLoRaの派生技術なのだ。この技術革新によるブレークスルーは今後の市場拡大に大きく貢献することができるだろう。
まず試作機を作るにあたり、給電側と受電側の超高速な位相の同期、大電力と柔軟性(ロバスト性)と高効率(85~95%)を同時に解決することが大きなポイントだった。以前の試作品の“位相の同期”部分は赤外線を使っていたが、光による外乱や位相の遅延があり、より確実に“位相の同期”をするために、我々は1年以上前からより良い無線モジュールを探していた」とWQC株式会社 技術本部長 湯浅 肇氏は振り返る。
こうした背景をもとに比較検討した結果、最終的にWQC社が行き着いたのはグリーンハウスの無線モジュール技術だった。

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”位相の同期”部分には現在ALTERA FPGA(左上)を使って開発が行われている。

やりたいことを具現化してくれるグリーンハウスを高く評価

WQC社がグリーンハウスと提携した最大の理由は、WQC社が長年実現できなかった技術的課題をグリーンハウスが解決できる技術を持っていた点だ。また自社開発の経験に基づく強力な技術サポート体制と、課題を解決するための豊富なネットワークを有していたことも大きな要因だ。
「位相同期部分のハードウェアでは混信に負けない技術などのアドバイスをもらい、ソフトウェアではシステムの要求に合った位相同期モジュールと回路の構成を考慮していただき様々な要望にすばやく応えてもらいました。ソフトウェアからハードウェアまで、すべて社内での一貫した設計開発は非常にやりやすく、大きな問題もなく順調に試作を進めることができました。また、この技術をビジネスに活かすための企画力と販売網がグリーンハウスにはあったこともグリーンハウスをパートナーとして選んだ理由の1つです。」と牛嶋氏は語る。

ワイヤレス電力伝送技術の未来

新方式により、送電コイル(円盤下部分)と受電コイル(円盤上部分)の位置がずれても高い効率で送受電ができる。

ワイヤレス電力伝送がもたらす未来の社会

このワイヤレス給電の新技術は、携帯電話、パソコン、シェーバー、歯ブラシなどの家電へのワイヤレス給電の効率を向上させるのはもちろん、ロボット掃除機やドローンなど自動操縦されるロボットの分野においても飛躍的に利便性を向上させることが期待される。Qiなどの既存規格に適用して性能改善することも可能であり、ワイヤレス給電のデファクトスタンダードと成り得る技術だ。電動工具、おもちゃ、水中ロボット、ゴルフカート、シニアカー、無人搬送車、フォークリフト、スリップリング、モーター回転子、液体中給電、体内医療機器、航空機、ロケット、ミサイル、人工衛星の各種給電、EV、家電など、ありとあらゆる分野での応用が見込まれる。WQC社は今後、この新技術を世の中に浸透させることで、人々の暮らしの向上に貢献していく考えだ。

WQC株式会社

電力用、照明用インバータの開発設計と製造。
ワイヤレス給電のソリューションを提供いたします。
〒165-0027 東京都中野区野方6丁目30番24号
http://wqctech.com
Mail:info-jp@wqctech.com

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