CASE STUDY 1
for OFF Line株式会社
自立飛行ドローンによる徘徊者の早期発見システムに、国内初のLoRa方式920MHz無線を採用。
Bluetooth、Wi-Fiとインターネットを使用した新しいタイプのコミュニケーションアプリ「AirTalk」を運営するOFF Line株式会社。「認知症・徘徊みまもり」のための専用ビーコンを自社設計し、 Bluetoothの電波強度も自由に変更可能、最速スピードで最大半径450mの距離を通信する技術を用い、様々なタイプの施設に対応する「みまもりビーコン」サービスを2016年9月に開始している。その後、仙台、金沢、北九州など様々な認知症施設・高齢者専用住宅に導入し、今後サービスエリアの拡大も視野に入れている。さらに、周辺地域において飛行許可が取れた場合に限り、高齢者が身に着け電波を発信する「みまもりビーコン」の検知を空からドローンで行うことにより、多大なコストがかかる捜索システムを安価に提供する取り組みを行っている。
空中からドローンを使って捕捉した徘徊者データをクラウドにアップするにはBluetoothでは性能不足、もっと長距離通信が出来る無線を使用したい。
・無線モジュール自体の性能(通信距離や安定性)。
・設計検討から製造までの一貫した迅速なサポート体制。
千葉県柏市での実証実験以降、各自治体からの問い合わせが殺到。 業務の効率化と利便性を、より加速させていく。
(左から)OFF Line株式会社 取締役 最高技術責任者 松山 剛士氏、同社テクニカルアドバイザー 上田 英一氏、同社 代表取締役社長 石塚 孝一氏
警察庁の発表では、 2015年に認知症による徘徊などが理由で行方不明になった人は12,208人にのぼり、その内の0.2%の人が行方不明のままだ。こうした背景の中、OFF Line株式会社では、Bluetoothを使った「みまもりビーコン」サービスを2016年9月に開始している。このサービスは、施設や自宅にAndroid型の固定検知端末を設置し、ビーコンを内蔵した「御守り」を持った高齢者の方の外出を検知して、指定の携帯番号にメッセージおよび位置情報を通知(SMS、LINE、AirTalkなど)することで、徘徊や行方不明を防ぐしくみだ。
しかし、高齢者の方が外出してしまった後の大きな課題として、行方不明になる前に早期発見をしなければいけないという点がある。これは、時間が経てば経つほど行方不明者の捜索が難しくなり、リスクが高まるためだ。 「町に固定器を設置し、そこから徘徊者を検知する取り組みも行っているが、固定器を設置する場所がない場合や、複数個所に設置するのに費用がかかるという課題があります。そこでその課題を解決するために空中からドローンを使って徘徊者をBluetoothで検知しようと試みました。ただBluetoothでは450mの検知距離のため、その検知情報をいち早く地上に飛ばすのにはどうすればよいか、どうしたら検知のカバレッジエリアを広げられるか、という新たな課題がありました。日本の電波法では”空中から携帯電波を発信してはいけない“という規制があり、特別な許可を与えられた地域以外ではドローンから直接クラウドサーバにデータを送ることが出来ません。WiFi等では地上への通信距離がかなり制限されてしまうため、最終的にはサブギガのLoRa方式の無線を使用することにしました。」と語るのはOFF Line株式会社 取締役 最高技術責任者 松山氏
コミュニケーションアプリ「AirTalk」とビーコンを内蔵した「御守り」で新しい形の認知症・徘徊みまもりシステムを提供する。
そのような中、グリーンハウスが非常によく飛ぶLoRa方式の無線モジュールを提供していることを知り、他のLoRa方式の無線モジュールと比較検討した結果、2016年10月にグリーンハウスの無線モジュールを採用することを決定した。グリーンハウスを選んだ理由についてOFF Line株式会社 テクニカルアドバイザー上田 英一氏は「電波がよく飛ぶという点を重視し無線モジュールを探していましたが、確認してみるとグリーンハウスがLoRa方式の無線モジュールを提供していると知りました。グリーンハウスと言えば、学生時代にアルバイトをしながらお金を貯めて買ったAKAIのサンプラー用メモリーモジュールを思い出します。メモリーや液晶ディスプレイの会社だと思ってたので、現在の無線事業の展開に驚きましたが、昔から知っている電子機器メーカーとしての安心感も大きかったと思います」と振り返る。 「大出力で長距離通信が出来れば良いのですがドローンに搭載するバッテリーには制限もあり、また通信モジュール自体も小型軽量である必要性がありました。実証実験までの期日が迫っていたのですが、、グリーンハウスが的確に対応してくれたのと、分かりやすく豊富な資料の提供、さらに技術者と直接やり取りをしているような感覚で仕事を行えたことは、大きな問題もなく開発ができた要因だと思います。恵比寿は隣の駅で近いので、やりとりがとても楽でしたね。」と説明するのは松山氏だ。
LoRa方式の無線モジュール「RM-92A」(左上)を搭載したドローン。
搭載BLEで検知したビーコン情報をLoRAにて見通し100kmの距離で地上ゲートウェイに送信する。
OFF Line株式会社は、2016年11月20日、千葉県柏市保険福祉部福祉活動推進課が行った「かしわオレンジSOSネットワーク訓練」に協力参加し、「みまもりビーコン」・ 「ドローン検知」サービスについてのデモンストレーションを行った。デモンストレーションでは、徘徊検知固定器端末を徘徊想定場所の3か所に設置し、5チームに分かれた訓練参加者がその近くを歩行。ビーコンを持った訓練参加者がいつ・どこで固定器端末によって検知されたという状況が一目で分かるため、実地会場に設置されたプロジェクターに大画面で表示された。「もともと柏市が行っていた、行方不明になった認知症高齢者や若年性認知症者などを早期に発見し、地域一体となって生命・身体の安全を確保する取り組み“かしわオレンジSOSネットワーク”があったので、その取り組みに賛同し参加しました。柏市が行う人と人とのつながりによる取り組みと私たちが行っているIoTの取り組みを複合して行うことに、大きな可能性を感じました。まだドローンの制限はありますが、今後各地方自治体に導入されていけば、特に人口が少ない地域での行方不明者の捜索での効果が期待でき、捜索のための人的労力とコストが確実に抑えられます。」 (松山氏) 。
OFF Line株式会社では、「みまもりビーコン」サービスで2016年内に5000人、2年目の2017年では8万人の利用を見込んでいる。このサービスは、OFF Lineの開発したよく飛ぶビーコンと固定検知端末での行方不明者を未然に防ぐのが第1段階、今回開発をした他社とは違う圧倒的な通信距離のLora方式無線を採用したドローンによる徘徊者の検知で、万が一行方不明になったときに行方不明者の早期発見をするのが第2段階と2段構えでのみまもりサービスだ。コスト面でのリスクも少なく管理が容易な点でメリットが大きい。OFF Line株式会社は今後、施設単位ではなく市町村単位での普及を中心に、社会貢献をしていく考えだ。 ※なお、 「みまもりビーコン」サービスにはすべて最大1億円の個人賠償責任保険が付帯されており、外出時・徘徊時にご高齢者が、日常生活で偶然な事故により他人にケガをさせてしまったり、他人の財物を壊して損害を与え、法律上の損害賠償責任を負担することによって損害を被った場合に保険金が支払われることになっている。(支払い限度額:1億円)
※「みまもりビーコン」サービスにはすべて最大1億円の個人賠償責任保険が付帯されており、外出時・徘徊時にご高齢者が、日常生活で偶然な事故により他人にケガをさせてしまったり、他人の財物を壊して損害を与え、法律上の損害賠償責任を負担することによって損害を被った場合に保険金が支払われることになっています。(支払い限度額:1億円)
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